海と言う名の魔界ツアーに参加したハゲ

お疲れっす!ベジ下です。


仲間のみんなすまね。久しぶりになっちまったね。

盆休みにオリンピックと、ビッグイベント続きで気が付いたら今になってしまってたわ。


そんな久しぶりの今日は、盆前に魔界に、あ、海に行ったんで仲間のみんなに報告しとこうと思います。

では早速いきます。



それは盆前の事だった。


「今週S子の家と海行くことになったから」

俺は突然嫁から処刑先行を受けた。


S子ちゃんとは嫁の仲の良い友達で、よくお互いの子供達を連れて公園なんかに行く、普段から付き合いのある友達だ。


しかもかわいい。

芸能人でいうならインリン・オブ・ジョイトイに似ている。

俺はS子ちゃんが家に来たりすると、変に良いお父さんぶったり、ノリを竹野内豊みたいにして、いつも大人の雄ヒョウを演じている。

もちろん俺がハゲ日本代表ということはS子ちゃんは知らない。

そんなS子ちゃんと、初の家族合同魔界ツアーの話が俺の知らないところで進んでいたのだった。


まぁ、今年も1回は海の覚悟をしていた俺だったが、まさかよりによってS子ちゃんと行くとは完全に想定外の事だった。

しかし俺は、そんな嫁からの衝撃すぎる告白を受けたにも関わらず、一切動揺せず、


「あっあああああああ、そっそそそそそ、そうなんや」

「わっわわわわわ、わかった」


と、黒部ダムのような器で吸収した。


魔界ツアーを告げられたのは水曜で、ツアー決行はその週の日曜日だった。

まだ運命の日まで4日あった。


「4日あればいけるかもしれない」


俺はその日から雨ごいを始め出した。


ネットで


「雨降らす 黒魔術」

「雨降らす 儀式」

「てるてる坊主 無効化」


など死に物狂いで調べた。


そして最終的に辿り着いた究極の雨ごい方が

「ドジョウすくいを激しめに踊る」

方法だった。


方法は至ってシンプルだった。

ケツを突き出した体制で右に2回、左に2回、そしてまた、右に2回、左に2回ドジョウすくいの動きをして、最後に足を「ドンッ!ドンッ!」とやるだけだった。

これでほぼ100%雨を降らすことができるようだった。


「これだ!!これで魔界を回避できる!!!!」


俺は、ドジョウすくいに全てをかける事にした。

その日以来、俺は夜な夜なドジョウすくいを踊り狂った。



・魔界ツアー前日


そしてついに魔界ツアー前日が訪れた。

すると、その夜奇蹟が起きた。

なんとマジで天候が悪くなったのだ。


「おい、おい、おい、マジかよ!?」

「ふぉっ!フォォオオオオオオオオオ!!!!」


ドジョウすくいの効果抜群さに少しビビったけど、俺はこの夏一番の雄たけびを上げた。

空は案の定、曇り空となって天気予報は雨か曇りだった。

俺は嫁に、


「えー!!マジかよ...みんなで一緒に海行くの超楽しみだったのに(´・ω・`)」


と1ミリも思っていないことを言った。


まぁでも、子供達は最低1回は海に連れていってやらないとかわいそうだから、「来週に家族だけで海行くか」と考え、安心してその日は寝た。


だが翌朝、

俺はとんでもない光景を目にすることになった...



「早よ起きなよ」


前日の勝利の余韻で完全に安心しきって爆睡する俺に、嫁がディスってきた。

今日は雨で100%海は中止だから、昼まで寝て、昼から子供達をイオンでも連れて行ってやるかという考えだった俺は、


「ん、んん、もう昼か?ドッフゥ!ドッフゥ!ドッフゥ!(サブウーファー)」


と余裕の竹野内豊で時計を見た。

時刻はAM6:00だった。


「んん?なんやねんこんな朝早く?今日は雨なんやしもうちょい寝かせてくれ」


眠気まなこをこすりながら勝利の二度寝に入ろうとしたその時だった。


「は?あんた何言うとん?外見てみなん?早よ起きて用意してよ」

嫁がアンサーを返してきた。


(ん??)


(まさか!!!)


俺は、ガッッバァ!!と布団を弾き飛ばし、窓の外を見た。



・・・



俺は言葉を失い、意識が飛びそうになった。


そう、


外は、今世紀最大とも言えるほどの

雲1つ無い豪快な青空が広がっていた。



(なんでやんねん!ドジョウすくい踊ったやんけ!)

そんな事はおかまいなしだ。

無情にも雨ごいをして調子に乗った俺に神の洗礼が下ったのだった。

俺は天国から地上をぶち抜けてブラジルまで叩き落された。


嫁や子供達はもうテンションアゲアゲで準備をしている。

「もうこの流れを変えることはイチローでさえ無理だ」

俺は直感で悟り、とりあえず用意を始めた。


海と言えば「風」「水」「灼熱の太陽」のビッグ3が揃った、まさにハゲにとって魔界同然の場所だ。

ノーダメージで生還できる可能性は、ほぼ0だ。

俺は、とりあえず風呂に入って目を覚まし冷静さを取り戻す事にした。

そして服を着替えハゲセットをし、

ケープを大噴射した。


プシュー!プシューーーー!!

プシュッ!プシュッ!

プシューーーーーーーーーーーーーー!!!!


せめてもの抵抗だった。

俺はドジョウすくいに裏切られた怒りをケープにぶつけた。

おそらく、ケープの内容量の5分の1ほどをハゲ頭にぶっかけたと思う。

その結果、俺のハゲ頭は自分でもドン引きするほどのオリハルコンヘッドになってしまった。

間違いなく過去№1の硬さになった俺の毛は、風船くらいならマジで割れそうな勢いだった。

しかし、これなら海のどんな爆風が吹こうがハゲが捲れ上がることは絶対に無い。


「濡らすことさえ回避すれば、今日の海を制することができるかも...」


土壇場で手に入れた武器のおかげで俺の伊逹ワル魂に火がついてしまった。

そして、


「よし!行こうぜ!」


と、まさかの先陣を切って、S子ちゃん一家と待ち合わせのコンビニに出発した。



・AM8時待ち合わせのファミマ到着


S子ちゃん達は既に到着していて、車の中で待っていた。


「お待たせ―!おはよう♪(^_-)-☆」

俺は車を停めると、旦那さんは一切無視してS子ちゃん一直線に挨拶した。

そして、子供たちに、

「フォフォフォフォフォー☆今日は楽しもうぜーー(^O^)/!」

と、ノリの良いパパをアピールした。


これはもちろん、見た目は大人フェロモンむんむんの男なんだけど、実は心は無邪気な少年でした(笑)みたいな、

「母性本能入れ食いギャップ」

をS子ちゃんのコアにぶち込むためだ。


すると、

「朝から元気だね〜(*^_^*)笑」

とS子ちゃんが笑ってくれた。

そんなS子ちゃんに対して、あえてクールな塩対応で軽く「(*^^*)ニコッ♪」とだけ返した俺だったが、内心は、

シャンパン音頭を大合唱するホスト集団みたいになっていた。


そして、ファミマで軽く買い物をしてお互いの車で海に向けて出発した。

海までは車で1時間半くらいだった。

行きの時点から俺を挑発するかのように気温はグングン上昇し、まさかのベストオブ海日和となってしまった。


しばらくして魔界が見えた。

「フォオオオオオオオオオオオオ――――!!!!」

俺はヤケクソで吠えた。


そして駐車場に車を停め外に出ると、予想通りの魔界の爆風が吹いていた。

しかし、天空の兜(ケープ)をまとった俺のハゲ頭は魔界の爆風にもビクともせず、他のみんなの髪が風でなびく中、俺だけ銅像みたいになってた。

俺はこの好機を利用し、

「よっしゃー!子供達!荷物運ぶぞー(^O^)/」

と、「子供を制する者はママを制する」の掟を忠実に守り、先制攻撃を仕掛けた。


「海=俺の庭、海の事なら俺に聞け(`・ω・´)」

と言んばかりにテキパキと荷物を運ぶハゲ猿。

嫁の目が点になっていた。


そしてビーチにポジションを陣取ると、とりあえずみんな水着に着替える事にした。


数分後、みんな着替えが終わってビーチに集まった時、俺の身にとんでもないことが起きた。

俺は、期待はしていたが何気なく着替え後のS子ちゃんを見た。

すると、S子ちゃんは上は水着の上からラッシュガードを羽織り、下はケツギリギリの短パンを履いていた。

決してモロにビキニではないからそこまで露出度はないんだけど、S子ちゃんの生足、ケツギリギリの短パン姿に理性を失ったのか、

なんと俺の海パンの中のピカチュウが、


ユルチェンコをかましやがった。


奇蹟的に、はみ出しだけは回避できたけど海パン持ち上げてグングン来てたわ。


そして間一髪でピンチを乗り切った俺は、

「さぁ!さぁ!泳ぎに行こうぜ(^o^)/!」

と、S子ちゃんの旦那さんと共に、泳ぎを待ちわびる子供達を連れて海に向かうことにした。


「さぁ、ここからだ」


海辺を見つめる俺の目は戦に向かうラストサムライのような厳しい目つきになっていた。

なぜなら、ここまではノリで何とかできたけど、ここから先はノリでどうこうできる問題ではなかった。

もし、荒ぶる波にハゲ頭を飲みこまれでもしたら俺はバケモノ化してしまう。

そうなればS子ちゃんの「一夏の恋」も終わってしまう。

それだけは絶対に避けなければならない。


そして、俺は北島康介のように豪快に海に飛び込んだ。

ヒザまでだけ。


「おーい!あんまり先の方までいくなよー!」

俺は子供達をしっかり監視しつつ己のハゲ頭にも細心の注意を払った。


それにしても、この日は暑かった。

海に入っていても灼熱の日差しでデコから汗が流れてくるほどだった。

もちろん俺は頭は濡らしていないから、灼熱の太陽のせいで髪と頭皮はカラカラに乾いてしまい、太陽のせいでハゲないか心配になるくらいだった。


周りを見渡せば、子供から大人まで気持ちよさそうに潜ったり、水なんてまったく気にせず海を楽しんでいた。

俺よりだいぶ年上のおっさんでさえ、潜ったり、子供と水のかけ合いをして髪をビチョビチョにしながら海を100%エンジョイしていた。

挙句の果てにS子ちゃんの旦那さんまで、海に入るなり潜って髪をビチョビチョにしていた。

さらに、自分の子を持ち上げ、そのまま水面に投げたりもしていた。

もちろん、水面に子供を投げたら水しぶきもハンパなく返ってくるけど、S子ちゃんの旦那さんは一切気にしてなかったし、子供もめちゃくちゃ楽しそうだった。


でも俺は、自分の子供を投げてやることはできなかった。


俺はS子ちゃんの旦那さんが子供達とはしゃぐ姿を見て、ただ無理矢理に引きつりながら笑うしかなかった。


「くっそぅ...なさけねぇ...」


俺は、水辺からちょこんと薄いハゲ頭を出し、絶対に水が掛からないように必死で周りを気にする己に対して、情けなさと孤独感でいっぱいになった。

それでも、少しでも自分の子供を楽しませてやろうと浮き輪を押したりしたけど、結局はエネルギー弾を命がけで交わすヤムチャのような情けない姿でしかなかった。

そんな自己嫌悪にボコボコにされながら、昼頃になって飯のため一旦、嫁とS子ちゃんがいるポジションを取った場所に戻る事になった。


しかし、俺はシートに戻るこの時も驚くべき行動に出た。


そう、


ハゲがバレない部分だけビチョビチョにしだしたんだ。


俺は、シートに戻った時にS子ちゃんに

「俺は海に潜っていましたよ」

とアピールするために、水に濡らしてもハゲに影響のない、

・もみあげ部分

・ヤン毛部分

・顔

を、ありえないくらいビチョビチョにした。


そして、顔、もみあげから不自然なほどドボドボに水滴を垂らしながらシートに戻り、

「アチ―☆てか、やっぱ海最高!超気持ちいいわー(≧▽≦)!」

と、ほざいた。


これにはS子ちゃんの旦那さんも

(・_・)

となっていた。


そして、メールをチェックするふりをして、スマホの内側カメラで画面が粉砕するほどハンパない目力でハゲ頭を確認した。

何度か水しぶきをくらったものの、鬼ケープのおかげで、ほぼノーダメージだった。

そして、伊藤英明が土方から帰って来た時のような鬼級の昼飯の食いっぷりを魅せつけた。


飯を食い終わり時間を確認すると、PM1時を過ぎた頃だった。

(何だかんだ言ってもこの程度か。海楽勝。笑)

俺は、ガチガチに固まったハゲ頭と午前中自己嫌悪に陥ったものの、それほど問題無かった事に安心し、少し調子に乗り始めた。


(昼からも同じ動きでオケ。いけるいける)


しかし、本当の恐怖はここからだった。


そう、


悪行を繰り返し、調子こくハゲに神の制裁が下ったのだ...



昼飯を食い終わった俺達は、昼からも午前中と同じ場所で海水浴を楽しんでいたのだが、1時間ほどして子供達が飽き出してきた。


「ここ飽きてきたー」


子供達が言う。

俺は心の中で、天空を貫くほどのガッツポーズをしながら

「えーマジか(´-ω-`)仕方ないなぁ。ほなもう帰ろか。」

と言った。


しかし、子供達は帰りたのではなく、

「あそこの岩の所行きたい♪」

と、海水浴場のスグ横にある浅瀬の岩場を指さした。


そこは、岩場と言っても深い場所ではなく、何組かの家族連れが網を持って小魚を捕まえたりしているようだった。

時間はもうPM2時を過ぎていた。

だから遊べてもあと2時間くらいだったから、最後に嫁やS子ちゃんも一緒にそこで遊んで帰ろうという事になった。


しかし、この選択がヤバかった...


「よ〜し☆んじゃ、最後に俺が魚捕まえまくってやるぞ〜(^o^)/」


制限時間も残りわずかとなって調子に乗りまくるハゲ猿。

ちょうど網も持ってきていたので魚取りの準備はバッチリだった。


しかし、岩場に着いた俺を待っていたのは「絶望」の二文字だった。


岩場に着くと確かに数組の親子連れが網をもって魚を捕まえていた。

しかし、


潜っていたのだ。


魚を捕まえるためにお父さん達が...


その岩場は大した深さはなかったが、波があったから水の上からでは魚が見えない所だった。

だから、魚を捕まえていたお父さんや子供達は、ゴーグルをして軽く水中に潜っていたのだった。


俺は完全に想定外の展開に、頭の中がセルシオ級のパールホワイトになった。

その瞬間、S子ちゃんの旦那さんが潜り出した。


「お!すげー!マジでめっちゃ魚おるわ!」


興奮した様子で海面に顔を出すS子ちゃんの旦那。


「うっそ〜☆おれも!おれも!」

それに続いて興味深々で潜り出す子供達。


(おい!?ちょ!待ってくれ!)

焦り出す俺。


そして気が付けば、嫁とS子ちゃんと俺以外みんな潜って魚を捕まえだしていた。


「パパー!魚めっちゃおる!パパも捕まえてー!」

息子が言う。

ヒザが震えて動けないパパ。


(なぁ神さまよぉ...最後にそりゃねーだろ...)


俺は目をギュッとつむり、奥歯を噛みしめた。


「パパ早くー!早くせんと魚逃げるー!」


焦らす息子。

ふと、隣にいた嫁とS子ちゃんの方を見ると、S子ちゃんが、

「早く捕ってあげて(*^_^*)」

と、とんでもない事を言いだした。

さらに嫁も、

「さっき言ってたんやし、ちょっとだけ捕まえてやりなん」

と、ノーガードのボディーにフルストレートを打ち込んできやがった。


「絶対絶命」


まさに、これ以上この言葉が合う場面はないほど、俺は追い込まれた。

タオルは車の中の着替えと一緒に置いてきたからアディダスマンには変身できない。


(ちくしょう!!どうすればいいんだ!?)

(もうハゲるしかないのか!?クソッタレーーーー!!!!)


俺は、目の前の逃げ場のない現実にパニックになりながら考えた。

そして、もうダメだと諦めかけたその時、

(そうだ!!)

俺の中に奇跡のひらめきが舞い降りてきた。


そして、俺は絶対使わないだろうけど持ってきていたゴーグルにスッと手を伸ばした。

ゴーグルのタイプは水泳選手の付けるメガネタイプではなく、鼻も隠れるシュノーケルタイプの方だ。

そして俺はそのデカめのゴーグルを装備すると、


なんと、ハゲ頭もろとも一気に水中に潜った。


嫁は当然俺のハゲの事は知ってるから、絶対に潜らないと思っていたらしく、

「えーー!?マジでいった!!!( ̄□ ̄;)!!!」

みたいになった。


しかし、俺は諦めて自爆したわけではなかった。


そう、


俺には土壇場で舞い降りた奇跡のヒラメキがあったのだ。


ポコポコポコ。。。

水中に潜った俺のハゲ頭はみるみるうちに戦闘力を失い、さすがの鬼ケープも水中では2秒で溶けてしまった。

問題はここからだ。


海に潜った俺は、ふえるワカメちゃんをデコったナッパのようになってしまい、絶対にこのままでは水面に上がれない状態になってしまった。

しかし、息もそう長くは続かない。


(イチかバチかやるしかない)


水中で俺は覚悟を決めた。

そして、息が限界になった次の瞬間、俺は水中で装備していたゴーグルに手を伸ばした。


そして...


「ぎょえええええええええ!!!!」


俺はゴーグルを一気にデコの位置までずらした。


そう、


俺はゴーグルをハチマキ代わりにしてM字ハゲの部分を隠したのだった。

そして、


ブゥワァッサァッーーーーー!!!!


と、伊藤英明がワキを洗う時くらい凄まじい勢いで水面上に飛び出した。


水しぶきを上げながら出てきた俺は即行で、

「おお!!ヤベー!!マジで魚大量!!」

と無邪気な少年のような雄叫びをあげた。


もちろん、水中から水揚げされた俺のハゲ頭は、バスケボールにモズク酢をぶちまけたようなハードな状態になっていた。

しかし、肝心のM字ハゲ部分は、ずらしたゴーグルによって完全に封印され、決してハゲには見えなくなっていた。

その証拠に水揚げ後のS子ちゃんの反応を見てみると、俺の頭には一切目線は行っておらず、少年のように無邪気な俺の目をじっと見つめ頬を赤くしていた。

嫁は、俺のまさかのゴーグルハゲ隠しに

(・_・)

となっていた。


俺は海坊主が如く暴れ狂った。

まるで、イルカの群れをバタフライで先導し、圧倒的な存在感を見せつける反町のように俺は潜り狂った。

もちろん、

「潜る時はゴーグルを装備し、上がる瞬間にズラす」

を厳守しながらではあったが、俺はすっかり爽やかビーチ坊やに早変わりしていた。


でもマジで気持ち良かった。

海で潜るなんて、いつからやってないか分からないくらい久しぶりだった。

そして、気が付けば俺は子供達と本気で魚捕りをしていた。

やはり親の本気さは子供に伝わるのか、この時の子供達はここ最近で一番楽しそうに見えた。


そして、あっという間に1時間ほどが経って、そろそろ帰る準備をしようということになった。

この時点で俺のゴーグル上げ下げ回数は20000回を超え、そろそろゴムがちぎれる頃だったのでナイスタイミングだった。


「ああ、これでやっと終わる」

俺は安心してその場で爆睡したい気分になった。


しかし、安心もつかの間、

またしてもここで最後の試練が訪れた。


勘の鋭い仲間のみんななら、もうお分かりだと思うが、


そう、


帰るにはゴーグルを外さないといけなかった。



ビチョビチョになった俺のハゲ頭はもう鼻クソをほじる力も残っていなかった。

「取れるはずがない」

俺はプライドをかけてゴーグルを取らない決心をした。

そして、後片付けが始まった。


浮き輪の空気を抜き、荷物をまとめ、シートを畳む。


片付けが進むにつれて、

「あれ?ゴーグル片づけんの?」

みたいな空気になり、だんだん俺のヘッドゴーグルが浮いてきた。

しかし、そんなことはおかまいなしだ。

俺は、当たり前のようにデコにゴーグルを付けたまま黙々と片付けをこなした。


そして片付けが完了すると、俺は即行で両手いっぱいに荷物を持った。


そう、俺は、

「あ、ゴーグル忘れてるわ。でも両手ふさがっちゃってもう外せないし、このまま行くわ(^-^;」

という空気を強制的に作り出したのだった。


その後みんなで着替えのためコインシャワーを浴びる事になった。

しかし、温水で体を流してサッパリするはずのコインシャワーでさえ、俺には「地獄の滝」でしかなかった。

なぜなら、シャワー後ビチョビチョになったハゲ頭のまま外に出ないといけないからだ。

もうゴールは目前なのに最後の最後にそれはない。


そこで俺は、ファイナルプランを発動することにした。


幸いにも夕方とあってコインシャワーは混んでいて各シャワーに2、3人ずつくらい並んでいた。

俺はこのチャンスを利用して、

「あ、俺、先に荷物運んでくるわ(^_-)-☆」

と、シャワー待ちの間に、先にシートや浮き輪などを車に運ぶと言いだした。

そして俺は、誰のアンサーも待たずに両手に荷物を持って、駐車場の方へ進みだした。


しかし、俺の本当の目的は「荷物を運ぶ事」ではなかった。

俺は駐車場に行くと見せかけて、コインシャワーのすぐ近くにある「水シャワー」の所でドリフトばりの勢いで止まった。

水シャワーとは、外に設置してある無料のシャワーで、夕方にもなると冷たいから小学生が根性試しにくらいしか使わないシャワーの事だ。


その時も予想通り数人の小学生が、

「ヒャッフォーーーー!!超つめてぇーー!!www」

とか言いながら遊んでいた。


その水シャワーの前に来た俺は、次の瞬間驚くべき行動に出た。


4つ並びに水シャワーの一番右が空いた瞬間、

なんと俺はそこに飛び込んだ。


そして、装備していたゴーグルをブン投げ、無我夢中で頭、体を洗い始めたのだ。

もちろん横の1、2、3のシャワーはノリノリの小学生集団が水シャワーを浴びてはしゃいでいた。

正面からの光景としては、


シャワー1. 遊ぶ小学生 

シャワー2.遊ぶ小学生

シャワー3.遊ぶ小学生

シャワー4.無我夢中で洗うハゲた中年おっさん


という不自然過ぎる光景だった。


ゴーグルを外し、シャワーをぶっかけた俺の頭は、己の持つ100%のハゲを露わにし、どう見ても海坊主か何かの霊がシャワーの所に出て来たようにしか見えなかった。

そして俺はガチガチに震えながら水シャワーで頭、体の砂を洗い流すと、再び荷物を持って、


「都会の人混みを怯えながら疾走するズブ濡れの猿」


のように海水浴客の人混みを突っ走り、駐車場の車まで行った。


車に到着した俺は、家族の着替えを下ろすと、龍が如くその場で着替えだした。

朝からハゲを隠す事、約7時間。

もう俺のストレスは限界だった。

これ以上のストレスは命に関わるから、着替えとハゲ頭のメンテを済ませて「あとは帰るだけ」の体制でみんなの所へ戻ろうという考えだった。


俺は車の死角で、人の目は完全に無視してフルチンになった。てか、もう人目を気にするほどの気力は残っていなかった。


フルチンになって体を拭いていると、駐車場誘導のおっさんがたまたま俺の目の前を通った。

「あ!」と思ったが、俺はおっさんを無視して体を拭いた。

しかし、俺の下半身のバイエルンは、

「ボンジュ〜ル♪」

と、おっさんにしっかり挨拶していた。


そして、着替えが終わると残すはハゲ頭のメンテだけどなった。

タオルでシバくように拭いたけど完全には乾かず、「湿った味のりでも貼ってんすか?」と聞かれるほど悲惨なボリュームだった。

絶望的な状況に追い込まれた俺は、


「どうにか乾かす手はねーのかよ...なぁ、神様おれが悪かったよ。助けてくれよ...」


と、意識が遠のく中、ダメ元で祈ってみた。


すると、どこからともなく神の声が聞こえてきた。

「ガッテム!車のエアコンぶん回したらんかい!!」


(え?)


!!!


「そうか!その手があったか!!」


そう、調子に乗った事を反省した俺に神は車のエアコンをドライヤー代わりにしてハゲ頭を乾かせと俺に教えてくれたのだった。

俺はドアノブが粉砕するほどの勢いで車をあけると、キーが千切れるくらいの勢いでエンジンをかけた。

そして、


ブオオオオオオオオオオオオオ!!!


フルパワーでエアコンを付けた。

そして、エアコンの吹き出し口に頭を近づけて毛を触ってみた。


「乾く!!!」


なんと、エアコンの風でも十分ドライヤーの代用ができたのだ。


「ふぅおおおおおおお!!!!」

俺は車の中で雄叫びを上げ、悪霊にでも取り憑かれたかのようにハゲ頭を乾かし始めた。

その数分後、フニャフニャだった俺のハゲ頭は、わたがしのような見事なボリュームを取り戻した。

欲を言えばケープをブチかましたかったが、持って来てなかったから仕方なく諦めた。

しかし、ケープ無しでも洗いっぱなしのハゲ頭と比べれば、ボラギノールランボルギーニくらいの差があった。


こうして死の淵から蘇った俺は、急いでみんなの所に戻り、何もなかったかのように

「お待たせ―(^o^)/!」

と振る舞った。


「あれ?もう着替えたん?シャワーは?」

とみんなが俺に注目した。


それに対し俺は、

「あ、湯とかめんどくせーし、水でサッと済ませたわ( `ー´)ノ」

と、どこでも生きていける頼りがいのある豪快な男をアピールした。


これにはさすがのS子ちゃんも、自分が人妻であることを忘れてしまい、

「あぁ(*´Д`)この人とだったら無人島でもどこでも行く(*´ω`*)」

と完全に俺以外見えなくなってしまった。


ような気がした。


そして、みんなそれぞれシャワーと着替えを済まし、PM5時過ぎに無事海を出て帰路についた。

帰りの車の中、俺はやっと帰れる開放感でハンパなく元気だったけど、子供達は遊び疲れて寝てしまっていた。

それを見て、ツラい1日だったけど良かったと達成感に満ち溢れ、俺は安全運転で帰った。


んじゃ以上が夏の甘酸っぱい思い出となります。

ハゲってほんとツラすぎるよね。

海って普通は楽しくて仕方ないものだけど、ハゲからすれば魔界同然のものだと改めて実感したわ。

まぁでも久しぶりに潜ったのはマジで気持ち良かったわ。

なんか小学生の時におとんに海連れて行ってもらった事思い出したからね。

来年は家族だけで行って潜りまくるわ。


今日はマジで長くなっちまったね。

今ザっと読み返してみてビビったわ。

仲間のみんな、大事な時間を使って読んでくれてマジありがとね。

まだまだ暑いけど、風邪ひかないように頑張ってくれよな!

んじゃまたね。


ハゲテェーラ♪


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